【報ステ】「異常気象が普通に、四季は二季に」“温暖化”で異常台風が起きる理由(2023年8月3日)

ANNニュース速報

大型で非常に強い台風6号は、いったん沖縄本島から離れました。しかし、進路を東寄りに変え、週末に沖縄に再び接近した後、本州方面に向かう予想です。

異常気象を最前線で研究する、三重大学教授・立花義裕さんに聞きます。

(Q.台風6号が長くとどまり、沖縄で大きな被害が出ています。今後もこうした台風はやってきますか)

立花さん:「そうですね。今回の台風はまさに“異常”です。非常にゆっくり動き、Uターン。こういうのは、なかなかありません。要因は色々あると思いますが、一つは海面水温が高いことです。そして、海面水温が高い理由の一因として、地球温暖化があります。猛暑や変な台風がたびたび起きる今の時代は、異常気象が起きることが普通になっている。“ニューノーマル化”していると言ってもいいと思います」

動きの遅い台風が生まれる要因は、海水温の他にも色々とありますが、立花さんが特に注目しているのが『偏西風の蛇行』です。偏西風は本来、緩やかな動きをしていましたが、今は南北に激しく蛇行しています。立花さんによりますと、蛇行が激しくなった要因は『北極の温暖化』が非常に大きいといいます。偏西風は、北極と熱帯の温度差が少ないほど風が弱くなります。北極の温暖化で寒暖差が少なくなった結果、大きく蛇行。へこんだところに高気圧が溜って無風になり、台風が停滞して遅くなっているということです。

(Q.北極の温暖化は簡単に止まらない。そうなると、この状況は今後も続きますか)

立花さん:「北極の温暖化と言うと他人事のように感じますが、我々が住んでいる場所の気象に関係があります。北極が温暖化して、偏西風が激しく蛇行すると、今年のようにゆっくり動く台風が増えます。また、猛暑で海面水温が上がっています。そうなると、ゆっくり動く台風は、暖かい海からどんどんエネルギーをもらって、ますます巨大化・強化されます。日本付近の海面水温が高いので、強いまま上陸することも起こり得ます。猛暑と台風による激しい雨が、同時期に起きてしまいます」

(Q.蛇行した偏西風がズレることはありますか)

立花さん:「少しはズレます。偏西風の蛇行が東にズレると、今度は寒気と暖気の境目があり、南からすごい湿った空気が入るため、大雨が降ります。そのため、大雨と猛暑は紙一重です。蛇行が逆になるなど、大きな変化はないため、寒い夏になるということは、まずありません」

(Q.異常気象が“ニューノーマル”になった場合、日本はどうなりますか)

立花さん:「春夏秋冬がなくなり、四季が“二季”になっていくと考えています。夏が長くなって、秋と春の期間が縮まって、冬は冬でちゃんと寒い。例えば、春は最近、暖かくなっています。この一因は、ユーラシア大陸の雪が早く解け、暖まった空気が偏西風に乗って日本に来るため、日本も早く暑くなる。夏は偏西風の蛇行でものすごく暑い。そして、猛暑が続くと陸の温度も上がりますが、海面水温も上がります。夏の終わりには太陽が弱ってきますが、水温が高いので、海から吹く風が暑くなるため、残暑が厳しくなります。残暑が続くと、秋の入りが遅って期間が短くなります」

(Q.春秋が暑くなるのなら、冬も暖かくなりますか)

立花さん:「冬も温暖化である程度、暖かくなりますが、寒いです。冬は大きく蛇行した偏西風がズレて、向きが反転。大陸が寒く、海が相対的に暖かくなります。そうなると、風が吹く向きが逆になるので、寒波が来て大雪が降ります。こうして、夏は暑く、冬は寒く、春秋は短くなって季節が2つになります」

(Q.長く暑い夏と厳しくなる冬、どうやってしのいでいけば良いですか)

立花さん:「すぐにCO2を止めても、なかなか戻らないので、温暖化に適応した生活が良いと思います。例えば、猛暑で、家の中でも熱中症で亡くなる人が増えているので、カーテンを遮熱カーテンに変える。農業では、温暖化に適応する農作物に変えるなどが良いと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

コメント

タイトルとURLをコピーしました