【報ステ】「整備で“クマの通路”が」なぜ?北海道で相次ぐクマ“過去最多”ペース(2023年5月16日)
北海道の住宅街や小学校周辺などでクマの出没が相次ぎ、今月に入って100件以上の目撃情報が入っています。16日には、札幌市や室蘭市でもクマが目撃されました。
中心部で目撃が相次ぎ、北海道が『ヒグマ注意報』を出した室蘭市。16日は、保護者が児童に付き添っての登校となりました。
保護者:「予想外。まさか、この住宅街に出ると思ってなかった。正直心配」「初めてここにクマが出たから、びっくり。おっかない。(子どもが)朝、散歩に行ったりしていたが、1人であまり行くなと言っている」
15日は、住宅が立ち並ぶ場所で、体長1.5メートルのクマが。16日昼前にも、市道沿いの草むらで、1メートルほどのクマが目撃されました。警察に寄せられた、北海道内での目撃情報は、過去最多となった、去年のペースをも上回る勢いです。
14日、朱鞠内湖で釣りをしていた男性が行方不明になりました。船のガイドが迎えに行くと、男性の姿はなく、胴長靴をくわえたクマがいたといいます。
行方不明の男性の知人:「北海道生まれ、北海道育ちの釣り好き。僕らには神様みたいなもの。あの人はクマをよく知っている。ものすごく慎重な人」
札幌市では16日朝、南区の浄水場の近くで「親子とみられるクマが2頭いる」と通報がありました。その通報から20分後、同じ南区の小学校の近くでも1頭のクマが目撃されました。
札幌市内では4月以降、20件の目撃情報が確認されています。そのうち17件は、地区の大半を山が占める、南区でした。
目撃現場の近くに住む人:「ここなんて、もう山でしょ。川は水量ないから、渡ってきたら、夜は分からない」「橋を渡ってきたら一発だよね」
16日も室蘭市で、クマを追い続けた、北海道猟友会室蘭支部長・生稲隆さんは、こう話します。
生稲隆さん:「なぜ、何をしに出てきたのか、今のところ分かっていない。北海道全体でクマが増えている。エサを探してなのか、テリトリーを広げようとしてなのか。例えば、ゴミを荒らされたりした痕跡もない。なぜ住宅街の深くまで出てきているか分からない」
【都市部でクマ目撃相次ぐ…なぜ?】
北の大地で今、何が起きているのでしょうか。
北海道に生息しているのはヒグマです。国内最大の陸上生物で、体長は約2メートル。立ち上がると、大きいものは、2.5メートルになるものもいるということです。
北海道のほぼ全域に生息していて、生息数は年々、増加傾向にあるといいます。80年代まで、クマの個体数は、駆除もあって減少傾向でしたが、1990年以降は森林内での積極的なクマの駆除が廃止され、増加の一途を辿っています。
北海道では今年、例年より早くクマの目撃例が相次いでいます。その理由について、ヒグマの生態に詳しい、酪農学園大学・佐藤喜和教授に聞きました。
佐藤喜和教授:「今年は雪解けが早かったので、冬眠からクマが早く目覚め、目撃される時期が早まったのではないか」
(Q.都市部で目撃されているのは、エサを求めているからですか)
佐藤喜和教授:「お腹をすかせているわけではない。森林内での積極的なクマの駆除を廃止して以降、個体数が増え、分布が拡大。人間による駆除を経験していないクマたちが、人を恐れなくなったからではないか」
さらに、街づくりにも課題があるとも指摘しています。
佐藤喜和教授:「国家戦略として、生物多様性の確保を目指す街づくりを推進。北海道でも、森と街をつなぐ緑地などを整備した結果、クマにとっても通路となり、都市部に入りやすくしてしまった」
街中でクマに遭ってしまった場合、できることは、ほとんどなく「近付かない」「走って逃げない」「刺激しない」「建物に避難する」くらいだといいます。
そのため、そもそもクマを都市部に呼び込まないように対策が必要だということです。侵入経路となる森林との境目には、草刈りなどで見通しを確保する。また、電気柵・フェンスを設けることも有効です。
佐藤喜和教授:「北海道のヒグマ管理計画で、今年の春から、人里周辺の森に限定で、銃によるクマの捕獲を開始。これで捕獲できなくても『人間は怖いんだ』ということを経験させる狙いがある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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