「次世代の倉庫」でドライバー“荷待ち“解消へ「2024年問題」加速する企業の対策(2023年4月24日)

ANNニュース速報

トラックドライバーの残業規制によって人手不足などが懸念される物流の「2024年問題」
対策の一つが人が誰もいない「無人の倉庫」です

▽“次世代倉庫”でドライバーの「荷待ち」解決へ
倉庫に到着した1台のトラック。入庫作業を行う場所には、誰も人がいません。自動で専用レーンに乗せられ運ばれて行きます。こちらは、先月稼働を始めた花王の新倉庫。総工費およそ55億円をかけ“完全自動化”を可能にしました。
(若月愛実ディレクター)「1つの山で最大1.1トンほど乗せられるということなんですが、1つの荷物に対して1分ほどで入庫が終わるということです。」
通常、入庫作業では、フォークリフトや人が倉庫内を何往復もしていますが…この倉庫では、自動化で荷下ろしにかかる時間が半分程度になると言います。扱える荷物の量も増えています。それを実現したのが…
(花王 チーフデータサイエンティスト 田坂晃一さん)「ロボット3台とAGV(無人搬送車)25台が動いてケース仕分けを行っています。人は全くいない設備になっております。」
1時間に900箱の段ボールを積むことが可能。大きさが違う箱の組み合わせもロボットが考えています。さらに…
「届け先で必要な量だけ、商品を積みつける作業になっておりますので、1ケースでも2ケースでも、少ない量でも必要な分だけを積み替えると」
自動化により、本来作業に必要だった30人を別の業務にあてることができるそうです。背景にあるのは「2024年問題」トラックドライバーの時間外労働が規制される事で人手不足が懸念されています。労働時間削減の為、導入したのが…
(若月愛実ディレクター)「今、トラックの到着がこちらのモニターに表示されました。するとコンベアにはすでに大量の荷物が準備されています。トラックが到着する前に荷物の準備をしておくことで、待ち時間削減につながるということなんです。」
荷物の積み下ろしのため、ドライバーが待機する“荷待ち時間”。業界団体の調査によると、平均1時間18分に及び、長時間労働の主な要因とされています。こちらでは、トラックが入口に到着するとカメラが車両のナンバーを読み取り、搬入口へと誘導。その知らせを受けると同時に、積み込み準備が始まります。
(向島運送 芦川安孝さん)「順調に行けば、30分くらいでもう(倉庫を)出られると思います。1時間くらいは今までの倉庫より短縮できてると思いますね。」
物流網自体の見直しも進めています。
(花王 チーフデータサイエンティスト 田坂晃一さん)「物流だとなるべく物を動かさないことが基本になりますので、工場直送なんかも1つのアプローチになると思います」
花王の工場では、製造した商品は物流拠点を経由し小売店などに運んでいますが…この機能を倉庫に組み込むことで、ドライバー不足を補いたいと考えています。

▽“トラックと荷物をマッチング”ライバル同士で連携へ
2024年問題を前に慢性的な人手不足に悩む引越業界。
(ワクワク引越サービス 武内憂斗さん)「この年度で転勤の増え方がやっぱり多くて」
この会社では、新年度に入り法人需要が急増。中には、人員が足りず受けられなかった仕事も…
(ワクワク引越サービス 佐々木智久社長)「4月1日に213件のご予約を頂きまして、1割から2割程のお客様の引越しはお手伝いさせて頂けない。手が足りないという事でお断りした状況でございます」
問題の解決に求められるのは、業務の無駄を改善し、収益力を高める事。そこで、この会社が試験的に始めたのが…
(ワクワク引越サービス 武内憂斗さん)「これは翌日分に積み込む荷物をスムーズに積むために片づけています」

これまで引越を終えた後、翌日の準備を行っていて、残業が増える要因となっていました。これを改善するため、運送業務をおよそ半分にし、残りを倉庫作業に当てる事でトラックに乗車する時間を減らし、効率化を図るのが狙いです。さらに中小企業では、ライバル企業の間で連携を模索しています。
(人力引越社 土田大輔社長)「業者も24年問題に本気で取り組む業者しか生き残れないのではないかなと」
中小の引越会社110社で団体を作り、2024年問題の対応策を話し合っています。
(リベロ 鹿島秀俊社長)「引っ越しって料金が決まってないじゃないですか。遠くに行って帰り空だと、例えば10万円・0円なんですけど、帰り便があると10万円・10万円になるんですね」
この会の発起人、鹿島社長が目を付けたのが、空いたトラックと運びたい荷物。2つを結びつける仕組みを作りました。例えば、東京にあるA社が福岡へ遠距離の引越しを行う場合。行きは荷物がありますが、帰りは空で戻る事が多く、経費がかさむ為、断るケースもあったと言います。このシステムでは、A社はB社に福岡から東京への引越しがあるのをネットで共有。
A社は福岡で空になったトラックにB社から委託された荷物を積み東京へ運びます。A社に利益が出るのはもちろん、B社も遠距離の引越しを引き受けてもらう事でトラックの空きが生まれ、地元で別の引越しができるのです。
(リベロ 鹿島秀俊社長)「長い時間働けない、ロスを出せない。今あるトラック台数と人で最大限の利益を上げるってなると、空の時間は許されない。エリア外の引っ越しを、これからさらに受けられなくなる事が必ず起きるのでネットワークは必ず活きると思っています」

4月23日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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