ディー・エヌ・エー(DeNA)などが出資する個人間カーシェアサービスが年内で終了することになりました。個人間カーシェアではトラブルが相次いでいて、国内では消滅する可能性があります。
■「やっぱり来たか」オーナーに聞く
16日、番組が話を聞いたのは、サービス終了を発表したエニカに登録している個人オーナーです。
オーナーAさん
「使わない車を貸し出しできないのかなというところが、エニカと出会ったきっかけですね」
Aさんは利用歴5年で、自家用車3台を登録しています。
オーナーAさん
「(一番貸し出した)月で売り上げが24万円ほどだった」
これまでの収入は5年間でおよそ600万円であり、ほとんどを車の維持費に充ててきました。
今回のサービス終了について「やっぱり来たかと。理由としては2023年ぐらいから貸し出しの件数が落ち込んでいて」と話しました。
交通エコロジー・モビリティ財団によると、カーシェアは2010年ごろから急速に普及し、市場は15年で290倍にまで拡大しました。
2015年、ディー・エヌ・エー(DeNA)は保険会社と共同で出資し、個人間カーシェアリングのエニカをスタートさせました。スマートフォンのアプリを通じて個人オーナーがマイカーを貸し出すサービスが特徴でした。
エニカは「『エニカ(Anyca)』は、2024年12月31日(火)までにサービス提供を順次終了することを決定しました。サービス開始当初から描いていた規模には遠く及ばず、結果としてサービス終了を決定しました」とホームページで発表しました。
■「トラブルが絶えなかった」指摘も
個人間のカーシェアは、NTTドコモが3年前にサービスを終了。中古車買い取り大手のガリバーは2年前からメンテナンスを理由にサービスを一時停止中で、「この半年以内に今後の継続について発表する」としています。
エニカが終了すると、個人間のカーシェアを提供する民間サービスは国内で消滅する可能性があります。個人オーナーのBさんは「トラブルが絶えなかった」と指摘します。
オーナーBさん
「(貸し出しの際に)ガソリン満タンで渡すので、満タンで返してくださいって約束で貸すんですけど、ガソリン代ごまかしみたいなのが今まで件数的には多かった。それ以外にも返却時間になっても現れないとか」
中には、事故によるトラブルも発生しました。車に搭載していたドライブレコーダーにはガードレールにぶつかったことで車体が傷つき、タイヤがパンクする様子が捉えられていました。運転中のながらスマホによる事故だといいます。
利用者側はパンクしたタイヤ1本を保険で交換しましたが、元々利用していたタイヤと違うメーカーのものを装着しました。4本中1本だけが違う状況で返されました。
オーナーBさん
「『(タイヤ)1本だけ新品に直しました』と言われても、基本的には全部交換すべきものなので、ドライバー側に負担させたいけど『それはできない』と言って。そういったことになると、トラブルになりますよね」
■個人間カーシェアが伸び悩んだ理由
3年前には、高級車が勝手に売却されるという信じられない被害もありました。個人オーナーだったCさん(当時30代)は、高級スポーツカー「日産GT-R」を勝手に売却されました。
きっかけは、アプリを通じてきた、ある女性客からのメッセージ。何度かアプリ上でメッセージを交換し、車を貸し出すことにしました。
オーナーCさん
「普通の男女カップルでしたね。ごく一般的な若い20代の男女」
Cさんは「特に不審な点はなかった」といいます。しかし、返却時間を過ぎても、カップルは現れませんでした。
オーナーCさん
「本人に5、6回電話したんですが、全く出てくれず。あの二人が乗り逃げしたんだなって思って、警察に通報しました」
翌日、事態は思わぬ展開を迎えます。Cさんのもとに入った一本の電話は警察からではなく、なぜか関東地方の中古車販売店からでした。
オーナーCさん
「『Cさんの車で間違いないですよね』と言われて。それは盗難車なんです。先方も、そこで盗難車を買わされたことに気付いて」
Cさんの車は貸し出してからわずか数時間後、中古車販売店へ600万円で売却されていました。しかも、Cさんから借りる前に、すでに売買契約を結んでいたのです。
Cさんは店に事情を説明し、愛車のGT-Rは無事に帰ってきました。
エニカによると、同じような被害が複数発生し、車を取り戻すためにオーナーが多額の費用を負担したケースもありました。
個人間カーシェアのサービスが伸び悩んだ最大の理由について、自動車評論家の国沢光宏氏は「他の(カーシェア)会社は会費がかかり、その分充当されるが、エニカは会費がないので使わない人は全く使わない。会員数が多くても収益は上がらない」と指摘しました。
(「グッド!モーニング」2024年10月17日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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