10日、G20が閉幕しました。これまで、この首脳会議を重視していた中国の習近平国家主席が初めて欠席しました。その思惑などを取材しました。
■習主席不在のG20「議長国インドは失望」
インドの首都・ニューデリーで行われたG20の会場に、続々と姿を現す各国首脳たち。議長国・インドのモディ首相は一人ひとりと握手をしながら、笑顔で出迎えます。
モディ首相:「私たちのチームの懸命な努力と皆さんの協力のおかげで、ニューデリーにおける首脳宣言の合意を得ることができました」
今年は初日に首脳宣言が採択されるなど、異例の展開となったG20サミット。サミットへの参加を巡っても、異変が起きていました。
中国外務省 毛寧副報道局長:「李強首相が9月9日~10日にインドのニューデリーで開催されるG20サミットに参加します」
中国の習主席が、国家主席として初めてG20を欠席したのです。
習主席不在のなか行われたG20で、アメリカ政府高官は「議長国インドが大きな失望を抱いていた」と話しています。
習主席の欠席を受けて、アメリカのバイデン大統領は次のように述べました。
バイデン大統領:「彼がここにいてくれたらうれしい。しかし、サミットは順調に進んでいる」
■中国が発表「標準地図」 批判も
日米欧の主要7カ国で構成されるG7(主要7カ国)への対抗軸として、2008年の発足からG20の枠組みを重視してきた中国。習氏も2013年に国家主席に就任してからは、欠かさず出席してきました。
一体、何があったのでしょうか?
ANN中国総局 冨坂範明総局長:「国境紛争を抱えていたりするので、ホスト国であるインドとの関係が良くないことが挙げられます。あとは、従来言われている南シナ海の問題や人権の問題です。そういったものに加えて、最近発表した“標準地図”が各国からの批判を浴びていますので、一連の批判を浴びることを避けた。そういった理由があるかもしれません」
先月28日に中国が発表した「標準地図」には、インドと国境争いを繰り広げているヒマラヤ地域や東南アジア各国と領有権を争う南シナ海のほぼ全域を「中国の領土」として、線で囲っています。
さらに沖縄県の尖閣諸島についても、中国が使っている「釣魚島」という呼称を表記しています。
G20の前に行われたASEAN(東南アジア諸国連合)関連の首脳会議では、加盟国から批判が殺到し、G20でも同様の批判にさらされる恐れがありました。
■なぜ習主席が出席見送り ANN中国総局長に聞く
原発の処理水について、ASEANの首脳会議では「核汚染水」という言葉を使い、強く批判していた中国でしたが、今回のG20では日本への批判はありませんでした。そこには、どのような思惑があるのでしょうか。
冨坂総局長:「日本の処理水に反対する中国の姿勢に、思ったよりも賛同してくれる国が少なくて誤算に思っている。そういったところから軌道修正を図っている可能性もあります。中国は日中関係を決定的に悪くしたくはない、そういった思惑はあるかもしれない」
G20での存在感が低下した形の中国。そのような結果が予想できても、習主席が欠席を選んだ理由とは…。
冨坂総局長:「G20よりも、自分たちの考えている国際秩序みたいなものを作る方に集中していきたい。そういったメッセージともとれるのかなと思う。例えば、来月北京で開かれる一帯一路のフォーラムですね。こういった一帯一路という枠組みを中国としては大事にしていきたい。そういったことも考えているかもしれない」
(「グッド!モーニング」2023年9月11日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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