「欧州への揺さぶりが狙い」ドイツは4割に・・・ロシア産天然ガス“供給減”専門家解説(2022年6月20日)

ドイツでは、今月から全国の公共交通機関の定額乗り放題サービスが始まりました。ガソリン価格高騰への対応策として、連邦政府が導入したものです。

終わりが見えない燃料価格の高騰。そこに追い打ちをかけるのがロシアです。
ロシア国営企業『ガスプロム』声明(15日):「16日からドイツへの天然ガスの輸送量を6700万立方メートルに削減する」

1日あたりの供給量を、これまでの“4割にする”という通達です。

ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン『ノルドストリーム』。ヨーロッパが輸入するロシア産天然ガスの40%がここを通って届けられています。それがいきなり、半分以下になります。

ドイツだけではありません。イタリアへの供給も5割減。フランスに至っては、理由は不明ですが、15日から供給がゼロになっています。

ロシア側は、“西側の制裁によってプラントの修理ができないこと“が、供給が減った理由だとしていますが、欧州3カ国首脳のキーウ訪問に合わせたようなタイミングだったのも事実です。

ドイツ・ハーベック経済・気候保護相:「これは価格を吊り上げ、私たちを不安にさせ、分断させようというプーチンの戦略なのは明らかだ」

ドイツは大きな方針転換を余儀なくされました。天然ガスの消費量を減らすため、石炭火力発電を増やすなどの“緊急措置”を講じると明らかにしました。2030年までの石炭火力の廃止は、ショルツ政権の最重要政策であり、悲願でもあります。

EU各国は、輸入先をほかの生産国に切り替えたり、クリーンエネルギーに注力したりしていますが、“ロシア産天然ガス”からの脱却には、まだまだ時間がかかるのが実情です。

足元を見るロシア側の発言です。
ロシア・ガスプロムCEOのアレクセイ・ミラー氏:「西側諸国は自業自得の結果を得た。普段は英語の表現を使わないようにしているが、きょうは使ってもいいだろう。“ゲーム・オーバー”だ」
ロシア・プーチン大統領:「西側の“ロシア嫌い”や、狂気じみた制裁が最近みられる。エネルギー価格は、どうしてこうなったと思うか。価格を上げているのは私たちだと、くだらない」

ロシアは、これまでヨーロッパ諸国がルーブルでの支払いに応じないことを理由に、輸出を制限していましたが、今回、供給停止の理由を、ロシアのペスコフ報道官は「(西側の)制裁でタービンの修理に何らかの問題が生じている」としています。

今回のこの理由について、防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんは「機械の整備不良は不自然。これはあくまで表向き。本音はヨーロッパへの“揺さぶり”」と分析。「EUが“制裁の最後のカード”とされる天然ガス禁輸に踏み込むのは、時間の問題とロシアもわかっている。ロシアは、その前に天然ガスを使い、ヨーロッパを揺さぶりたい」といいます。

兵頭さんは「狙いは、EU諸国の足並みを乱し、分断すること。ロシアは、ドイツのように天然ガスを止める国、まだ止めていない国もある。止めていない国に『次は自分かも・・・』と思わせたいのでは」とみています。そして、さらに、その先には「EUなどから停戦を求める声が高まることをロシアは期待しているのでは」ということです。兵頭さんは「現在、各国は分断ではなく“意見の食い違い”の段階。ただ、中長期的にはエネルギー・食料問題が大きくなり、一部の国から停戦を求める声も高まる可能性はある」ということです。「当然、ロシアもダメージがあるが、揺さぶるためには、思い切った削減幅が必要だったのでは」とみています。
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