ミサイル命中の“巡洋艦モスクワ”沈没でロシア側の報復は?(2022年4月16日)

ロシア軍の巡洋艦「モスクワ」の沈没について、米国防総省の高官は「ミサイルが2発命中した」と明らかにした。
命中したというミサイルはどんなものなのか。そして沈没が今後どんな影響を与えるのか、防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんに聞きました。

板倉)
ウクライナの南部に位置する黒海で沈没したといわれているのが、ロシアの巡洋艦「モスクワ」です。ロシアの国防省は艦内の弾薬が爆発した後、沈没したと発表しているんですが、CNNによるとアメリカ国防総省高官の話として、ウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」が2発命中していたということを明らかにしています。

高島)
高橋さん、まずは巡洋艦「モスクワ」は沈没したのはミサイル攻撃によるものとみていいんでしょうか?

高橋さん)
現段階で、そう見て良いと思います。

高島)
ウクライナ軍の「ネプチューン」というミサイルだということなんですが、例えばロシア軍が迎撃するのは難しいようなもの?

高橋さん)
海面の低い所を飛んでくるミサイルで、どんなに性能の良いレーダーでも水平線の向こうは探知できない。という事は、低く飛べば飛ぶほど近くまで探知されずに近づくことができる。例えば30キロぐらいまで近づくことができれば、あとはたった2分で届きますから、迎撃する時間は非常に短くなる。そうした意味で難しいとされる。

高島)
何かほかの特徴はありますか?

高橋さん)
もう1つは命中する直前に1度、対空砲火を避けるために上昇して、そこからまた水面の近いところに命中する力がある。水面に近いところに命中して穴を開けることで、浸水を広げて沈みやすくする。

高島)
ウクライナ軍はこのタイミングを狙っていたんですか?

高橋さん)
「モスクワ」という船は非常に防空能力の高い船なので、今、ミコライウ周辺で非常に激しい戦いが行われているから、そこに接近するのを阻止するためにウクライナ軍が攻撃したという可能性がある。

高島)
一方のロシア側は、まだミサイル攻撃を受けたということを認めてはいないが、これはなぜですか?

高橋さん)
まず1つは、やはりウクライナが勝利をしたという形は認めたくないということがあると思う。もう1つはロシア側が言ってるように、もし仮に当日の天候が嵐だったとするならば、非常に波が高いですから、そうなるとその低いところ飛んでくるミサイルの探知は難しくなる。なので、もし探知が仮にできずに命中したとすれば、ロシア側が認識した状況としては突然爆発が起こったという事も可能性としてはある。

高島)
プーチン大統領は今どんな心境だと推察しますか?

高橋さん)
愉快ではないことは間違いないと思う。ただ主役はあくまで陸上なので、海上に起きる事象がどれぐらい影響するかというのは分からない。ただ、今後例えば海軍の高級指揮官、幹部が左遷されるようなことがあれば、それはプーチン大統領がかなり怒っているということなのではないかと思う。

高島)
この巡洋艦「モスクワ」が黒海で沈没したということで、今後変わってくることはありますか?

高橋さん)
この船自体は1980年代に造られた船で、決して新しい船ではないが、いかんせん名前が「モスクワ」という首都の名前を冠しているということで、その政治的な効果は大きい。
また黒海艦隊は、それほど規模が大きい艦隊ではなくて、その中で最も強力な船ではあるので、その船が沈められたことによる今後の作戦への影響というのは、かなり大きなものになるかもしれない。

高島)
ロシアの国防相はキーウへの攻撃が増えることを示唆する声明も出している。今後のロシアの出方はどう見ていますか?

高橋さん)
いまロシア軍自体は東部に向けて戦力を集中していて、これから攻勢をはじめる段階にある。キーウのような、いま戦っている相手の首都はミサイル攻撃の対象に当然なるので、こうした攻撃はこれからも続くとみる。そして本命、一番ロシアが重視しているドンバス方面での本格的な陸上戦になると思う。

板倉)
南部ミコライウでは住宅街でクラスター爆弾による攻撃があり、5人が死亡。ハルキウやマリウポリでも攻撃があり、マリウポリではロシア軍が初めて長距離爆撃機を行っています。この長距離爆撃機というのはどういうものですか?

高橋さん)
今回使用された長距離爆撃機は「バックファイア」と通称される非常に高速で飛べ、搭載量の大きい爆撃機です。開発されたのは1970年代で、当時西側を恐怖に陥れた飛行機。現在、この戦況でマリウポリが陥落寸前といわれて3週間たつが、その中でなおこれだけの機体を投入し、爆弾を大量に投下したということは、いまだにウクライナ軍の抵抗が頑強なものであるということの表れだと思う。
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