占領下で進む“ロシア化”言語・通貨・メディアを統制する狙いとは・・・専門家に聞く(2022年4月14日)

ロシアが占領したウクライナ南部のメリトポリでは“ロシア化”が進められています。

メリトポリ最大のメディアグループ『メリトポリ・ベドモスチ』は、地元密着を貫いた紙面が市民に愛されてきました。ところが、先月21日・・・。

『メリトポリ・ベドモスチ』ミハイロ・クモクオーナー:「突然、自動小銃を持った5人組が押し入り、家中を調べられ、パソコンを没収されました」

オーナーだけではなく、3人の記者が拉致されました。その状況で、究極の選択を迫られます。

『メリトポリ・ベドモスチ』ミハイロ・クモクオーナー:「『従業員を危険にさらしてまで報道を続けるか』『皆の安全のためにやめるか』という選択でした。正しい判断か分からないが、報道をやめることにしました」

編集部も荒らされましたが、事前に不穏な動きを察知し、対策は打っていました。印刷機の部品を抜いて自由に使えないようにしていたのです。それなのに数日後『メリトポリ・ベドモスチ』の名を騙る新聞が街に出回りました。

1面を独占したのは、親ロシア派の新市長。「前市長が街を捨て逃亡したので、新市長がかじを取る」とあります。これまで全面カラーだった紙面はモノクロに。1面にプーチン大統領の写真が掲載されたのも初めてだといいます。

『メリトポリ・ベドモスチ』ミハイロ・クモクオーナー:「嫌悪感しかない。あんなレベルの低い印刷物は、経営が苦しくても出したことがない。長年かけて自由なメディアを作ったのは、侵略者に仕えるためではない。自称“市長”の彼女の記事は、プロパガンダと嘘ばかり」

もともとの市長だったフェドロフ氏は武装した集団に拉致され、その後、ロシア兵捕虜との交換で解放されています。

メリトポリ、フェドロフ市長:「教育分野にも圧力が続いている。占領者は学校での授業を開始したと宣言した。我々が改修した新しい幼稚園で、占領者がまずやったのは、園児が着る刺繍(ししゅう)入りの民族衣装を燃やすことだった」

教育現場ではロシア語での授業を強要し、抵抗する校長らを連行しているといいます。占領した地域で進む、ロシア化。その狙いとは。

◆防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんに聞きます。

(Q.“ロシア化”を図る狙いは何ですか)

2014年のクリミア併合の時も、最初にメディアを抑えて、ロシアの放送だけしか流せないようにしました。ある種のマインドコントロールを住民に対して行うということです。例えば、ウクライナがロシアの街を砲撃したというニュースも、占領した地域に流せば新ロシア感情を作らせることができます。メディアをコントロールしながら、自分たちの情報だけを流すということだと思います。

(Q.“ロシア化”の動きは、停戦協議に影響しますか)

ウクライナとしては、ますますロシアの条件を受け入れることができなくなります。すでにブチャの虐殺で、ロシアの占領地域に取り残されたウクライナ国民がどういう目に遭うかが明らかになりました。仮に殺されなかったとしても、このような形でロシアにマインドコントロールされるのだとすれば、ウクライナとしては国土を譲り渡す選択ができなくなります。国民を見捨てることはできないということで、これから戦い抜くしかないことを、ウクライナは認識することになるのではないでしょうか。

(Q.ウクライナは国民を見捨てられない、ロシアは“ロシア化”まで図った支配地域を戻すわけにはいかない。そうすると、ますます難しくなりますね)

土地はどちらかが取ったら、どちらかが失うので、落としどころを見つけることが難しいです。それがさらに先鋭化していく動きだと思います。
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