「救える命が救えない」重症者ら以外“自宅療養”(2021年8月3日)

東京都では3日、新たに3709人の新型コロナ感染者が確認されました。重症者は前の日から2人減って、112人。7人が亡くなっています。

保健所も、もう限界です。

北区保健所・前田秀雄所長:「当日、届けられた陽性者に対する対応だけで汲々(きゅうきゅう)としていて、場合によっては、保健所によってはすべての人に連絡ができない状況」

今、頭を悩ませているのは、政府の方針転換です。

これまでは入院の対象だった中等症ですが、今後、重症化リスクの低い患者は原則、自宅療養となります。

北区保健所・前田秀雄所長:「もし報道されている通りの内容の方針であるとすると、大変厳しいことになると思う」

一口に中等症といっても、呼吸困難となる中等症Iから酸素投与が必要な中等症IIまで症状に幅があります。

厚労省が作成した最新の診療の手引きでは、例え中等症Iでも「入院のうえで、慎重に観察」が必要とされています。

本当に自宅療養は可能なのでしょうか。

加藤勝信官房長官:「入院するかどうか、判断にあたっては、身近な地域の診療所等が患者の把握をして頂くなかで、できるだけ早くに察知をし、病院の方へ送っていく。こういう仕組みをしっかり作っていく」

最大の問題は、中等症でも自宅療養とする基準の線引きが、まだ明確に決まっていないことです。

命に関わる判断を、誰が、どのように行うのか。現場は困惑しています。

北区保健所・前田秀雄所長:「一定の呼吸器障害、酸素飽和度等が低下した方は、一律に入院すべき。そのなかで段階を付けることは個人の状況、様々な要素があるなかで、非常に難しい」

東京都内で自宅療養する人は、この1カ月で13倍に急増しました。新たな方針が運用されれば、この数は、さらに増えることになります。

北区保健所・前田秀雄所長:「症状が重いにもかかわらず、在宅療養の方が増加すると、きめ細やかな対応やケアはとてもできない。単身で自宅にいる時に急激な発症等を迅速に把握することは非常に難しい。在宅で地域に点在するのではなく、臨時の施設や宿泊施設で集中的に管理するのがベター」

政府は、自宅療養者の病状を丁寧に確認するため、往診やオンライン診療を強化する考えで、診療報酬を拡充する方針を示しています。

日本医師会・中川俊男会長:「(Q.医師の数は限りがあるが?)どんどん爆発的に増えていくと、いくらいても追い付かないことが現実に。頑張れるだけ頑張ると言うしかない」

診療にあたる医師も、中等症の自宅療養について不安を隠しません。

ナビタスクリニック・久住英二医師:「うちのクリニックでいうと、4連休があったが、コロナの患者を100人ほど診断。毎日オンラインで『きょうはどうですか?』と様子を聞けるかと言えば、これは無理」

また、コロナ特有の体調の急変に対応するのは難しいと訴えます。

ナビタスクリニック・久住英二医師:「コロナは肺炎だけでなく血栓、血が固まって脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞になったり、急激に容体が変わって亡くなる方もいらっしゃる。入院中と同じように、オンライン診療や往診で経過を診るのは、ハードルが高い。対応は必ず遅れるので、そこからベッドを探して、場合によっては救急車で半日過ごすみたいな形になる。
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