感染増“変異ウイルス”との関係は?現場医師に聞く(2021年3月30日)

全国で新型コロナウイルスの新規感染者が増えるなか、変異ウイルスはどこまで影響しているのでしょうか。防衛医科大学校の感染対策室長の藤倉雄二先生に聞きます。

大阪府では30日、432人の新規感染者が確認されていて、再び大きな山ができつつあります。

(Q.これは、変異ウイルスが関係しているのでしょうか)
大阪は首都圏より、一足早く、緊急事態宣言が解除されました。恐らく、それで人の動きが増えたので、感染者数が増えてきたという、要素はあると思います。現在、感染者数が多くなっている地域では、変異株の検出が増えていますので、変異株の影響は一定数あるかと思います。

(Q.大勢の変異ウイルスの感染者を受け入れていますが、どういう特徴があるのでしょうか)
我々が診ている変異株の患者は、ほとんどの場合がクラスターという形で、市中で出てきている例ではありません。我々のところで担当したのは、若い集団が多く、大体50代以下です。赤ちゃんもいましたが、そうなると重症化するというのは多くはなかったです。ただ、若い方でもCTを撮ると、しっかり肺炎ができていたので、重症化の危険性はあると認識しています。いままでのところ、わかっているデータでは、高齢の人よりも若い人が感染しやすいということはありません。ただ、従来型に比べると、少し感染しやすくなって、大人と同じ感染になっているのかもしれません、

イギリス型の変異ウイルスについては、感染力に加えて、重症化リスクが高い恐れもあるといわれています。学術誌『ネイチャー』に掲載された論文によりますと、従来型に比べて、死亡率が5割ほど高いと推定されているといいます。

(Q.なぜ、変異ウイルスは重症化リスクが高くなるのでしょうか)
去年、流行した武漢型ウイルスから、いまのウイルスは、だいぶ変わっています。その中の大事な特徴が、受容体、いわゆる入り口なる部分に対する結合のしやすさが高まっているということがいわれています。くっつきやすく離れない。そうなると、ウイルス自体が細胞の中に効率よく入っていくことができます。そして、細胞の中でウイルスが増殖して、さらに細胞も破壊していくことになる。非常にウイルスの量が多く、我々に与えるダメージが大きくなるということです。ただ、わからないことも非常に多くて、最新の論文をみても、原因については、はっきりしないとしているのが、ほとんどです。

(Q.これまで以上に、医療現場は大変だと思いますが、先生の病院はどう対応しているのでしょうか)
従来型と変異型というのを大きく診療エリアを分けています。特に変異型には、警戒レベルを一段上げていて、患者ごとに手袋、そして、通常ではあまりやらないガウンの交換もしています。かなり慎重に対応しています。なぜなら、“交差感染”を防ぐためです。従来型にかかっても、また、変異型にかかってしまうという可能性が指摘されています。一部の変異株には、従来型の抗体が効かないというデータもありますので、従来型にかかったとしても、感染する可能性があります。あと、非常に大事なことがあります。従来型は、感染性がなくなった時点で退院という基準があります。ところが変異株には、厳正に対応しています。PCR検査で、陰性を2回、確認しないと退院できないという基準になっています。感染性がある期間よりもPCRが陰性になる期間のほうが長くなります。そのため患者は元気だが、病床を圧迫するということが起きていて、大きな問題となっています。

政府は、変異ウイルスについて、陽性者の40%を調べる方針を掲げています。

(Q.40%で、封じ込めるには十分でしょうか)
理想的にいうと全数、検査することです。しかし、現実的に難しいと思います。地域によって、多少の濃淡をつけることを提案したいです。大都市圏や感染が多い地域では、できるだけ全数に近い数をフォローするほうがいいですし、逆に変異株が出ていない地域では、無理に40%を達成しなくてもいいのかなと思います。どうしても検査ができる施設に限界がありますから、民間の施設や大学病院の協力をできるだけ動員して、検査数のモニタリング数を増やしていくことが大事だと思います。
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