子どもの感染少ない理由・・・2つの仮説 専門家に聞く(2020年12月15日)

3密を避けにくい保育の現場では、全国で集団感染が相次いでいます。子どもの感染リスクの実態はどうなっているのでしょうか。日々、最前線で治療にあたっている国立国際医療研究センターの忽那賢志先生に聞きます。

(Q.子どもの感染リスクは、今、どこまでわかっていますか?)
忽那賢志先生:「今わかっていることとしては、子どもは大人と比べると感染がしにくく、症状が軽い、無症状のことが多いと言われています」

子どもは、感染しても、ほとんど軽症か無症状だという指摘は、以前からもありました。その原因について発表された海外の2つの論文を見ていきます。

論文1:子どもは“入り口”でストップする

新型コロナウイルスはが鼻やのどから入ると、スパイクと呼ばれる突起が、ACE2と呼ばれる受容体にくっついて体内に侵入して感染します。ところが、この論文では、子どもはACE2と呼ばれる受容体が、成人に比べて少ないとされているため、感染する確率が低いとしています。

(Q.この論文1について、どう考えていますか?)
忽那賢志先生:「まだ確定したわけではないですが、子どもは新型コロナウイルスが細胞内に侵入するための受容体の数が少ないので、その分、ウイルスが体に入り込む機会が少ないのではないかという説ですね。さらに、小児では重症化しにくいということも、この受容体の数が少ないことが関連しているかもしれないという話もあります」

論文2:子どもは“いつも”風邪をひく

1年に風邪を引く回数を年齢別に見ると、1歳未満だと年に5~6回、3~4歳でも4~5回引いていますが、年を経るごとに風邪をひく回数は減っていきます。

(Q.子どもがかかる風邪とコロナの関係性に注目した論文ということですか?)
忽那賢志先生:「アメリカの健康保険に関する研究をしたチームがいて、『過去1年間に風邪をひいたことがある人は、そうでない人と比べてコロナと診断された人が少なかった』という報告があります。風邪の原因として、同じコロナウイルスの仲間である『ヒトコロナウイルス』が1割を占めていると言われていますが、ヒトコロナウイルスに感染した人は新型コロナウイルスにも部分的に免疫を持つのではないかという仮説になります。子どもが新型コロナに感染しにくいのは、大人と比べて風邪をひく回数が多いので、新型コロナに感染しにくい、あるいは重症化しにくいのではないかというものです。これもまだ結論が出ている訳ではありません」

(Q.子どもが感染しない訳ではないので、注意は必要ですよね?)
忽那賢志先生:「子どもは重症化しにくいとは言われていますが、しないわけではありません。海外では川崎病に似た症状がコロナにかかった後、しばらくしてからみられることがあると言われ、日本でも1例、そのような症例があります。全身にブツブツが出たり、心不全になって重症になるということもあります。基本的には、大人から子どもにうつすことがほとんどなので、大人が家庭にウイルスを持ち込まないということが大事だと思います。とはいえ、子どもから感染が広がることもありますので、感染者との接触などがあれば、保健所の指示に従って、適宜検査などを受けて頂ければと思います」

(Q.今年の年末年始に、孫と会うか迷っている人も多いと思うが、自粛した方がいいでしょうか?)
忽那賢志先生:「今の状況からすると、この年末年始は、なるべく人との接触は減らした方がいいのではないかと思います。子どもは重症化しないから感染しても大丈夫という訳ではなく、子どもから高齢者にうつしてしまう可能性もありますので、大人と同じように感染対策は必要です。
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