「ドコモ完全子会社化」なぜ?iモード立役者に聞く(2020年9月29日)

NTTは29日午後に開かれた記者会見で、NTTドコモのすべての株式を取得して、完全子会社化することを決めたと発表しました。一般株主などからTOB=株式の公開買い付けによって取得。買収総額は、約4兆2500億円だといいます。
 NTTドコモ・吉澤和弘代表取締役社長:「今回の判断は社会の変化と5G時代のお客さまニーズに合わせて、ドコモ自ら変革し、さらなる成長を実現するためのものである」
東証一部上場のドコモは、NTTが約66%の株式を保有していて、TOBが成立すれば、上場廃止となります。
 NTT・澤田純代表取締役社長:「私どもはドコモが、NTTグループの中核として値下げも行い、かつ良いサービスも出し、市場でも戦い、研究開発も進めてくれる。そういうことを一緒にやっていきたい。まさに“広がっていく宝”だと捉えている」

1987年、携帯電話サービスが始まり、NTTが日本初の携帯電話を発売。1991年、のちにドコモとなる『NTT移動通信企画』が設立されました。1992年、NTTから分離。当時は、携帯電話でインターネットを見たり、メールを送ったりする機能は、まだありませんでした。画期的だったのが1999年に始まった『iモード』。携帯電話単体で、インターネットにアクセスができるようになったため、画面も小さく、モノクロながら、ニュースを見たり、メールやコンテンツのダウンロードなどが可能となり、利用者が一気に増えました。しかし、その勢いは、徐々に陰りを見せていきます。2006年、携帯電話会社が変わっても電話番号は変わらない“モバイル・ナンバー・ポータビリティー”が始まりました。これにより、顧客の流出が続きました。さらに、追い打ちをかけたのが『iPhone』です。
 NTT・澤田純代表取締役社長:「ドコモはシェアは大きいが、収入利益は3番手に落ちている。この春に明確になってきた。ドコモに『完全子会社化をベースにドコモを強化するというのはどうだろう』と話を始めたのは4月の後半という状況」

ドコモの完全子会社化により、携帯料金の値下げが加速する可能性があります。完全子会社化は、ドコモ単体での利益を追求することなく、もし、赤字になってもグループ内で補填することができます。また、他の株主の顔色をうかがう必要もなく、大幅な値下げに踏み切ることもできるようになります。
 大手通信幹部関係者:「悩ましいですよ。ドコモ自体の利益を考えなくてすむようになるわけ。完全子会社なので株主の様子を見ながら利益にこだわらなくていい。大幅に値下げしてくるのでしょうね」
 別の大手通信関係者:「これまで我々はドコモと戦っていたが、これからはNTTと戦うことになる。高校球児がプロ野球選手と試合するようなもの。うちでは実現できないような料金の値下げですかね。これは相当やばい」

◆NTTドコモの元執行役員で、『iモード』などのサービスを立ち上げた夏野剛さんに聞きます。
※NTTドコモが、NTTの完全子会社になることに、他社は「脅威に感じている」と話しています。どう思いますか。また、NTTとして完全子会社化はどんなメリットがあるのか。
新しい通信会社ができる度にNTT脅威論が言われてきました。私がいた2001年の段階で、ドコモのマーケットのシェアは60%で圧倒的でしたが、このスマホの時代になって差別化がなくなって、今は40%。他社は30%という状況で、昔のような状態ではない。前の段階では、サービスやキャリアを通信会社が作っていたが、今は、その競争はアップルとグーグルがやってくれている。どの会社も扱っている端末は一緒。今は、ネットワークだけを提供するような形に事実上なっている。問題は寡占市場。3社しかプレイヤーがいない。みんな横を見ながら料金を決めている。普通、差別化ができなくなると、料金は下がる。しかし、各社あまり競争もせず、20%の利益が上がる。そういうところに菅総理が指摘してきた。世論も含めて携帯電話業界が儲けすぎではないかというなかで、NTTは、公社だったこともあり、あれだけ総理が明確に言っているので、対応しなければいけないと考えること人も多いというのがNTTの特徴です。
※料金の値下げは進むと思いますか。
あり得ます。単なる値下げではなく、色々なものを組み合わせる形で、値下げしてくる可能性は極めて高いと思います。例えば、長期契約をしたり、ファミリー割引などです。ただ単に今の契約のまま安くするというのは、ビジネスロジックとして成り立たない。間違いなく他社も追随してくると思う。

※「移動と固定の融合型」とは、どういうことですか。
スマホを使っているとき、特に若い人は、Wi-Fiなのか通信なのか気にしていると思います。どっちも気にせず使って、料金が安全だったら、良いと思いませんか。今は、移動を使っているときの料金体系と固定を使っているときの料金体系が違う。会社も違う。それが、どっちも気にせず使うことが出来る。それが“移動と固定の融合”です。KDDIは10年前からやっている。通信技術との違いがなくなっている。だから、通信技術の発展に合わせる形で、今回の統合があると考えることができる。
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